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MUKAIHARA HOUSING COMPLEX REVITALIZATION PROJECT
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建替えの概要
事業期間:2004年〜2020年
旧物件名:向原住宅(1957年竣工)
5.6ヘクタール(東京ドーム1.2個分)の敷地に32棟840戸を有した当時先進的な賃貸住宅だったが、築50年が経過して建物が老朽化、間取りや室内設備は時代に見合わないものに。 さらに、この半世紀で居住者の構成も変化。子育て世帯が少なく、高齢者世帯が多い団地となっていた。
新物件名:コーシャハイム向原(1号棟〜7号棟)、コーシャハイム向原ガーデンコート(A、B号棟)
旧向原住宅の状況を踏まえ、単なるリニューアルではなく、あらゆる世代の居住者が交流できる場を整えることで、活気あるコミュニティを現代に取り戻すための試みとして企画された。 建替え後のコーシャハイム向原では、32棟あった画一的な住宅を建替え前の住戸数を確保しながら9棟に集約し、創出した用地に高齢者・障害者施設や保育園のほか、 地域交流スペースを兼ねたカフェレストランを建設。加えて、公園には災害時に地下水をくみ上げる「防災井戸」や、 煮炊きできる機能を持つ「かまどベンチ」といった防災設備を整備。敷地全域が広域避難場所に指定されている。
BEFORE
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AFTER
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職員
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1期・2期
1期
2期
少子高齢対策部少子高齢対策課
(※令和元年度当時)
M.D.
建築職
基本構想と1期の基本設計、
2期の福祉施設の企画運営を担当。
少子高齢対策部事業推進課事業推進係
(※令和元年度当時)
O.T.
建築職
基本構想と1期の基本設計を担当。
住宅営繕部公社住宅営繕課公社土木係
(※令和元年度当時)
U.H.
土木職
2期の外構工事を担当。
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![](../img/col-p5.png)
3期
3期
住宅営繕部都営住宅営繕課都営機械係
(※令和元年度当時)
K.Y.
機械職
3期の給排水設備設計を担当。
住宅計画部建設推進課電気係
(※令和元年度当時)
N.K.
電気職
3期の電気設備工事を担当。
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1期・2期
少子高齢対策部少子高齢対策課
(※令和元年度当時)
M.D.
建築職
基本構想と1期の基本設計、
2期の福祉施設の企画運営を担当。
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1期
少子高齢対策部事業推進課事業推進係
(※令和元年度当時)
O.T.
建築職
基本構想と1期の基本設計を担当。
![](../img/col-p3.png)
1期
住宅営繕部公社住宅営繕課公社土木係
(※令和元年度当時)
U.H.
土木職
2期の外構工事を担当。
![](../img/col-p4.png)
3期
住宅営繕部都営住宅営繕課都営機械係
(※令和元年度当時)
K.Y.
機械職
3期の給排水設備設計を担当。
![](../img/col-p5.png)
3期
住宅計画部建設推進課電気係
(※令和元年度当時)
N.K.
電気職
3期の電気設備工事を担当。
1期(2004年〜2010年)
コーシャハイム向原1〜4号棟を竣工。
2004年、建替え対象に選定された後、3年後の板橋区の地区計画決定を経て、プロジェクトが本格化。2008年に団地の一部が取り壊され、2010年に1号棟から4号棟が竣工した。
旧向原住宅の建替え計画は、どのようにして始まったのですか。
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O.T.
O.T.
旧向原住宅は1957年に建設された団地で、築50年を超えて老朽化が進んでおり、以前から建替えが検討されていました。
建替えが決まったのは2004年のことで、私はその2年後に本件に関わりました。
のちに「ツナガリノマチ向原」というコンセプト名が付きますが、高齢者も、小さなお子さんがいる家庭も住み心地がよく、地域交流や多世代交流を促進するような団地を建てるという計画は当初からありました。
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M.D.
M.D.
でもOさんが加わった時は、プロジェクトを進める上で大きな課題があったんですよね。
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O.T.
O.T.
クリアしなければならない課題は、「都市計画法」に基づく規制の変更でした。簡単に言えば、自治体とともに、まちづくりのルールを見直す手続きです。
旧向原住宅が建てられたのは高度経済成長期。その頃の古い建築ルールが規制となって、我々がやりたいと思う建替えができなかったんです。だからこの古いルールを一旦廃止し、新しいまちづくりのルールとなる「地区計画」を、自治体とともに作っていきました。ところが、この手続きを経験したことのある職員が社内には数名しかいなかった(笑)。
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N.K.
N.K.
いきなり大ピンチですね。
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O.T.
O.T.
まずは、旧向原住宅のある板橋区役所に相談に行きました。こうした変更の手続きは頻繁にある行政手続きではないため、板橋区の担当者もあまり経験がなかったようです。最初は手探りで業務が始まりました。
区役所には、毎日のように通い、この計画が地域の良好な住環境のために必要であることを繰り返し訴えました。ちょうど少子高齢化や核家族化が社会問題として取り上げられていたので、バリアフリーなどによる良好な住環境の整備や防災性・安全性の向上を目指すまちづくりのコンセプトに共感していただけたんだと思います。
担当者と信頼関係が築けましたが、区との調整には1年半以上かかり都市計画決定を受けました。その後、引き続き工事の担当となりましたが、2009年から工事に着手して、4棟を整備しました。都市計画変更など計画段階ですでにスケジュールが押していたので、一息つく暇もなかったことを思い出しました。
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2期(2010年〜2014年)
5〜7号棟を竣工。7号棟にはサービス付き高齢者向け住宅、介護・医療系事業所、
認可保育所・病後児保育室、カフェレストラン けやきを併設。
2010年から4年間かけて、敷地の東側に5号棟、6号棟、7号棟を建設。このエリアは福祉・防災機能の充実をテーマに掲げ、サービス付き高齢者向け住宅や地域にお住まいの高齢者に向けた介護事業所、診療所、保育所等の施設を備えている。また、公園は大規模災害を想定して、防災設備を整備している。
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M.D.
M.D.
2期工事ではサービス付き高齢者向け住宅(以下、「サ高住」。)を中心とした福祉施設の導入を担当しました。このサ高住も2011年から登録が始まる新しい制度だったので、参考となる先行事例はありませんでした。
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U.H.
U.H.
向原は新しいことずくめだったんですね。
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M.D.
M.D.
サ高住の運営については、社内で議論を重ねた結果、高齢者介護等の実績のある事業者に任せるべきだと整理をしました。そこで、我々公社がサ高住を建設し、完成したサ高住を1棟丸ごと事業者に借上げてもらう「マスターリース方式」による事業スキームを考えました。しかし、住宅供給公社の設立根拠となる「地方住宅供給公社法」では、住宅のマスターリースは認められていません。このルールを何とかしなければ事業を進めることができない状態でした。
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K.Y.
K.Y.
でも法律は変えられないのでは?
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M.D.
M.D.
そこで、法律を所管する国土交通省と相談をし協議を続けました。その結果、「地方住宅供給公社法施行規則」の改正がなされ、サ高住のマスターリースが可能となりました。
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K.Y.
K.Y.
そんなこと、できるんですか?
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M.D.
M.D.
サ高住を運用するためには、整備を行う住宅供給公社と運営をする介護等事業者の役割分担が必要であることや事業者と公社の役割分担によって団地が地域の中で医療・福祉拠点として機能することを繰返し伝えました。最終的に国土交通省の担当者も理解を示してくれ、実現に至りました。
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K.Y.
K.Y.
Uさんも、2期の工事を担当されましたよね。
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U.H.
U.H.
遊歩道と公園などの外構を整備しました。5号棟と6号棟の間を通る道は板橋区の所有で、本来なら変更を加えることはできません。しかし、当公社と区の間に強い信頼関係があったので、こちらも当公社が一体的なデザインで整備できることになりました。
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M.D.
M.D.
Oさんから始まった区との信頼関係が活かされた場面ですね。普通ではなかなかありえません。
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U.H.
U.H.
建替え前は鬱蒼と木が茂って薄暗く、人通りもありませんでした。この遊歩道は大通りに抜けられる便利な道なので、「歩きたくなる道」に変えたいと思いました。例えば、車いすやベビーカーが通りやすいように段差をなくし、樹木を再配置して開放感を演出する。さらに、この遊歩道に公園やサ高住を隣接させることで、さまざまな世代の人が行き交う道にしようと。
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M.D.
M.D.
私は今でも、向原のサ高住の運営担当として遊歩道をよく通るんですが、人通りはとても多くなりました。ここ最近では、この遊歩道と公園やサ高住を夏祭りの会場として一体的に活用しています。
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U.H.
U.H.
ほかに公園の整備も担当したのですが、こちらには防災機能が詰まっています。例えば、水道の断水時に地下から直接水を汲み上げる防災井戸。マンホールの上に簡易便座を取り付けられるマンホールトイレ。災害時に煮炊きできる「かまど」として使えるかまどベンチ。こういった設備が初めから備え付けられているんです。
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M.D.
M.D.
2期工事の計画や設計が進んでいるタイミングに、東日本大震災が起きました。震災の教訓を生かす意味で、ここまで行き届いた公園になったんですね。
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3期(2015年〜2018年)
コーシャハイム向原ガーデンコートA・B号棟を竣工。
また、隣接地に高齢者施設・障害者施設を整備。
敷地の南側に「コーシャハイム向原ガーデンコート(以下、「ガーデンコート」。)」という名称で2棟を建設。1階の共用スペースにはキッズスペースやシアターリビングがあり、大勢の友人を招いての映画鑑賞や、季節のイベントの開催ができる。他に、公社初の試みとして、各室の風呂にミストサウナが備え付けられた。
建替え前の入居者は1・2期に入居済みのため居室333戸のほぼ全てが新規募集となったガーデンコート。公社では例のない大規模な募集となったが、竣工前から内見できるよう、賃貸住宅には珍しいモデルルームを建設するなどプロモーションにおいても新たな試みを行った。
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N.K.
N.K.
モデルルームには来場者が多かったらしいですね。
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K.Y.
K.Y.
実際の室内設備も施工したんですよね。私が提案したミストサウナも入っていて嬉しかったな。
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O.T.
O.T.
そもそも、どうしてミストサウナなんだっけ。
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K.Y.
K.Y.
今回の募集がある意味挑戦であることは私も知っていたので、機械職として生活を潤すものを提案できないかと思っていました。その当時ミストサウナが流行っていることを知り、これをガーデンコートに入れたら話題になると思ったんです。
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O.T.
O.T.
設備が分譲っぽいよね。
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K.Y.
K.Y.
それが賃貸に入っているのがポイントです。女性職員を中心にアンケートを取ったら感触が良かったので、その結果を上司に報告すると「オープンルームに来てもらうきっかけになるね」と導入が決まりました。
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M.D.
M.D.
3期のもう一つのポイントはシアターリビングでしょう。
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N.K.
N.K.
1階の共用スペースに100インチスクリーンが設置された部屋があります。7.1サラウンドの高音質な音響機器を入れているので、映画館さながらの本格的なサウンドを楽しめます。
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O.T.
O.T.
うちにも欲しいなぁ。
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N.K.
N.K.
でも、この施工が一筋縄ではいかなかったんです。機器の性能が良いこともあって、重低音が上の階まで筒抜けになってしまう。毎日、工事が終わった後の現場に通って、業者の方と音漏れしないギリギリの音量になるように、アンプの出力を調整しました。誰が住んでも不快にならないように、快適性と音質の両方を追求したのが記憶に残っています。
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M.D.
M.D.
1期から3期まで話を聞いていて、関係した職員全員が妥協をせずにこの事業に関わってきたことが理解できますね。
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K.Y.
K.Y.
風呂場の設計で、緊急時の呼び出しボタンの位置が気になって、バスタブの模型まで作って押しやすい位置を決めました。人命に関わることですから、当たり前のことだと思います。
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O.T.
O.T.
我々の中では、入居者の目線を意識することは当たり前だと思っているよね。
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U.H.
U.H.
特段意識してはいないですが、思えば入居者や利用者の姿を想像しながら仕事をしているかも。
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M.D.
M.D.
我々JKK東京は、賃貸住宅の管理業務を通じて入居者や地域と接する多くの機会を持っています。その積み重ねが、入居者や地域への貢献を意識する姿勢として先輩たちから受け継がれているのだと思います。そうした、全職員の思いがコーシャハイム向原を作り上げたのかもしれないですね。
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