居室中央に撤去できない耐力壁がある中、南北に気持ちのいい抜け感があることに気 がつき、この構図を活かせないか考えました。
中央に1 枚の湾曲壁を置き、狭小住宅の中に3 つの空間を作ることで、1 ルームながらメリハリのあるプランを作ることができるのではないかと考えました。
1/2 模型での湾曲壁のプロポーションと開口部分の検討や、アイレベルでの空間体験を考察し、開口部のリズムと壁面の印象を調整しました。
緩やかなカーブを描く湾曲壁は中心にある耐力壁を覆いながら南北の居室を穏やかに繋ぎます。都市空間に存在する曲った路地のような空間が生まれ、狭いながらも奥行きを感じる体験をつくります。
湾曲壁の内側の小さな個室には、額縁を潜ることで中に入れます。この中に入る行為を額縁と行為によって顕在化させることで、より隠れ家的なシークエンスを生み出します。
完全に間仕切らす穏やかにつながる居室は、南北に風の抜けを作っています。4階であるため、窓を開ければ北側の公園側には高木の緑があふれており清涼な風を取り込むことができます。
設計者紹介
東京電機大学 建築学専攻大学院
両親の自分達でなんでもDIY してしまう本格的な日曜大工の光景を見て育ち、モノづくりに強い関心をもつ。
また幼少期より絵を書くことが好きであったこともあり、それを活かせる職業として建築家を知り本格的に目指すようになる。