福生市の「熊川住宅」が建設されたのは1963年。かつては大勢の子育て世帯が入居し、餅つきや縁日などのイベントでにぎわっていたこの団地も、声を上げて走り回っていた子供たちが成人して家を出て行くにつれて徐々に活力を失っていきました。現在では15棟約600戸に暮らす方々の40%以上が65歳以上。加えて高齢者の単身世帯が過半数となっています。団地のコミュニティを支えてきた自治会のメンバーも高齢化。コロナ禍による活動自粛も追い打ちとなり、一度遠ざかってしまった活動を再開することは簡単なことではありませんでした。
このように高齢者の単身世帯が増え、居住者同士の交流する機会が減った団地内では、コミュニティ意識が希薄化し、孤立化リスクが現実的なものとなっています。
当然、居住者の皆さんのこの団地への愛着は強く、これからも長く住み続けたいと考えています。そのためには居住者同士がつながり支えあい、地域との関わりを築いていくことが不可欠です。それはここに暮らす人びとの“命”を守ることにもつながるでしょう。居住者同士の交流が生まれやすい環境にある団地の存在意義を未来へと受け継いでいくための取り組みが始まりました。
