PROJECT STORY #01 団地再生事業

暮らしを愛おしみつつ、建物をよみがえらせる。
~小金井本町あんしん住まい
プロジェクト~

団地再生事業

昭和30年代後半に、小金井市に建てられた「小金井本町住宅」。その建替えは、居住者の方々や地域の皆さんへの貢献にもつながる、JKK東京にとっての新たなチャレンジでした。期間は約6年間。単なる開発や再開発とは異なる、“再生”ならではの難しさとやりがいが、そこにはありました。

CHAPTER 01

住み続けながら建替える

かつての高度経済成長期、住宅不足解消を目的に建設された団地。その多くは経年による建物の老朽化と、居住者の方々の高齢化が進んでいます。小金井市の「小金井本町住宅」もその一つでした。
小金井本町住宅が建設されたのは昭和35年後半。22棟830戸の大規模団地で、当時は「いきなり一つの町が出現した」と言われたほどでした。今般、JKK東京では団地再生事業に伴い、一部の住棟(3棟)の建て替えを進めていくことになりました。
建替えですから、居住者の方々には仮住まいへの移転をお願いしなくてはなりません。「建物が新しくなるのは嬉しいが、仮住まいは避けたい」というのは自然な感情です。そこでJKK東京では計画の概要が決まった段階から住民説明会を行い、丁寧な対応を徹底しました。一方で経済合理性も重要で、時間をかけず、コストも抑えながら進めていくことが求められます。住民本位の姿勢と事業性の追求。その適切なバランスをいかにして図っていくかは、団地再生事業ならではのポイントでした。
さらにJKK東京にとって市部での団地再生事業は初めてのこと。それまで区部での実績はありましたが、行政との調整等も含め、手探り状態での取り組みとなりました。

住んでいただきながら建て替える

CHAPTER 02

初の試み「JKKシニア住宅」の実現

事業計画の大きな特徴が、3棟の建物を建て替えて1棟とした上で、多様な間取りの住宅に加えて、JKK住宅では初となる「JKKシニア住宅」40戸を整備することでした。これは高齢者の自立した生活を支援するバリアフリー仕様の住宅で、緊急通報装置等の見守り設備も備えています。
さらに、高齢者の相談窓口である市の地域包括支援センターの併設や、敷地北側には用地を創出し、特別養護老人ホームを誘致しました。これらの取り組みを「小金井本町あんしん住まいプロジェクト」と位置づけ、地域の皆様が住み慣れた場所で自分らしい暮らしを続けることができるよう安心の住まいとサポートを提供することになりました。地域の福祉に何らかの貢献ができないかとの考えから実現した、JKK東京ならではのチャレンジと言えるでしょう。
一方で周囲に保育園や小中学校等が多いことから、子育て世帯向けの住戸も用意。高齢世帯から子育て世帯までの幅広いライフスタイルに対応できるよう、1DKから3LDKの多様な間取りの住宅を実現しました。さらに太陽光発電、Wi-Fi、EV充電施設、非接触ボタンのエレベーター等の設備も導入しました。
建て替えのスケールの大きさに加え、市の施設が同じ敷地内に誘致されることで市民の皆さんからの計画に対する期待は日ごとに高まっていきました。

初の試み「JKKシニア住宅」の実現

CHAPTER 03

慎重に進められた建築工事

建替工事が迫り、住民の方々の仮住まいへの引っ越しに備え、JKK東京では団地の一角に相談窓口を設置。不用品の処分方法など、引っ越し作業に伴う様々な相談事にきめ細かく対応する態勢を整えました。
実際に工事がスタートしてからは、周囲に学校等が多いことから重機の出入りの際は特に注意を払い、また、居住者の方々が暮らす敷地の中での作業ということで多くの誘導員を配置するなど、安全面の配慮には万全を期しました。
工事が進み、新しい建物の姿が目に触れるようになると、市民の皆さんの注目度も高まり、特に「JKKシニア住宅」へのお問い合わせも多数いただくように。「両親を入居させたいのだが」という声に、関係者一同、やはり社会に求められていたプロジェクトだったとの思いを強くしました。
竣工は令和6年11月。計画に着手してから約6年の歳月を経てのお披露目となりました。オープンルームに大勢の方がいらっしゃるなど、大きな反響が寄せられました。

慎重に進められた建築工事

CHAPTER 04

他プロジェクトへの水平展開も

「JKKシニア住宅」の整備実現や地域包括支援センターの併設など、JKKにとって初となるチャレンジだった「小金井本町あんしん住まいプロジェクト」。高齢者支援及び子育てがしやすい環境づくりの2点に重点を置いた魅力ある住まいの供給を通じて、地域の様々な課題・ニーズに応えた街づくりとなりました。市の施設の運営は当然市が行うわけですが、様々な調整が必要だったという点でも、挑戦的なプロジェクトでした。
このプロジェクトを通じて得られた知見やノウハウは今後の団地再生事業にも反映されていくことになり、既に世田谷区では「JKKシニア住宅」の計画が進められています。
建設されてから数10年。団地が歴史を重ねていくと同時に、居住者の方々も生活を積み重ねてこられました。当然、愛着があり、これからも住み続けたいという希望もあります。そうした想いをくみ取りつつ、建物を建て替え、さらにはJKK東京としての事業性も担保していくことが、団地再生事業の難しさであり醍醐味です。単に新たな街を開いていくのではなく、地域のニーズに応え、貢献していくために、今後も団地再生事業は進められていきます。

他プロジェクトへの水平展開も