駅近の路地裏、レンガ坂の歴史を今に伝えるスペインバル。

中野駅南口改札からすぐ、中野通りを中野マルイの手前で曲がると、レンガ敷きの坂道が続いている。まるでヨーロッパの路地に迷いこんだようなお洒落な通りが、レンガ坂である。

緑の蔦で半分ほど覆われたゲートをくぐった右手には、2013年オープンのスペイン料理店「siono(シオノ)」が静かに佇んでいる。「 siono(シオノ)」のオーナーであり、中野在住歴30年を超える馬場さんにお話を伺った。

「この小さな坂道を、街の素敵な通りにしたい」
そんな願いをこめて生まれたレンガ坂。

「この坂道は、かつて砂利とアルファルトで覆われたデコボコ道で、夜はとても暗く、自転車置場代わりに使われていたんです」
中野レンガ坂商店会長の岡田さんから「この小さな坂道をもっと人が集まる素敵な通りにしませんか」とレンガ坂のビジョンを語られ、大好きな中野の街とスペインを繋げたいとの想いを抱いていた馬場さんは、商店会の副会長を受諾した。

「ヨーロッパの街並みを意識して、通りの両端には味わいのあるゲートを設け、入口近くには水が流れる泉のようなオブジェも配置しています。坂の途中で休める石やベンチを配し、オリーブ、アイビーなどの観葉植物も採り入れました」
夜に来られる方のためにイルミネーションを薄暗い丸井の裏まで飾るとともに、電線が昼間に目立たないよう整理。さらに防犯カメラや災害時の緊急速報もお知らせできるスピーカー、目立たないように配置されたデザイン消火器など、細部にまで心配りが行き渡っている。

「レンガ坂を盛り上げていければという思いから、イベント等も数多く企画しています。特に毎年8月最終土日(2019年は8/24・25)に開催される『中野レンガ坂祭り』はたくさんの人で賑わいます。今年は『踊る!』をテーマに築100年の桃園会館にて、ハワイアン、ベリー、フラメンコの入場無料公演を開催する予定です」
レンガ坂はお店同士とても仲が良く、定期的にミーティングを行うなど結束力も強い。派手なネオン看板を掲げない、有名店やチェーン店は敢えて誘致しないなど、安心して歩ける上品な一帯としてのイメージを大切にしている。

世代を超えて、様々な人々が気軽に立ち寄れ、
素敵なひとときを過ごしてほしい。

「シオノをオープンする際、セルバンテスの有名な小説『ドン・キホーテ』の中で、主人公が旅の途中でふらりと立ち寄る宿のイメージのお店を作りたかったんです。ここは元々『シオノ化粧品』という50年間続いた化粧品屋さんがあった場所で、当時中野では知らない人がいないほど有名でした。そのオーナーさんが塩野さんという素敵なご夫婦で、そのまま店名を引き継いだかたちです。また、シオノ=Si o no はYES or NO?(わかる?わからない?)と問いかけるスペイン語でもあるので、2つの意味をもたせたら面白いのではと思い、店名に決めました」

「おかげさまで、シオノはお子様連れの若い方からご年配の方まで、幅広いお客様からご贔屓いただいております。どちらかといえば女性の割合が多いですね。カウンター席もありますので、お一人でも気軽にご利用いただけます。中野という街には小劇場も多く、演劇やマスコミ関係の方、大企業、公職の方もいらっしゃいます。なかのZEROホールでコンサートやお芝居を観賞された後や中野中央図書館の帰りに寄っていただいたり。中には毎日のように来られる方、閉店ぎりぎりまで楽しむ方もいて、ようやくこの中野の街に溶け込んで本来のバルイメージに近づいてきたのかなと感じます。とにかく中野という街に感謝の一言です」

店内はこじんまりとしたちょうどいい広さ。テラス席では早い時間にベビーカーでお子様といらっしゃる方も。ペットを連れての利用や、20~30名での企業の貸し切りパーティーでの利用もよくあるそう。レンガ坂には個性的なバルがいくつもあるので、何店かハシゴして“バルめぐり”をされる方も多いとのこと。

駅前になんでも揃っているので暮らしやすい。
通りから中に入ると、風景ががらりと変わる街。

「中野は新宿まで5分※で行けるので、東京のどこかに出かけるにはとても便利です。新宿にはもちろんたくさんお店がありますが、意外に駅から離れたところに集まっていたりします。それに比べると中野は駅前からすぐの場所に多彩なお店がたくさんありますし、少し歩けばなんでも揃っています。しかも、個性的なお店が多いので飽きない。また、芸能関係や著名人も多く、いろんな職業や世代の人々が住んでいるから街にパワーが漲っていて、自然と元気が出てきます。あと、駅の北口と南口では雰囲気がガラッと変わるところも面白いですね。通りから一本中に入ると、同じ街とは思えないほど風景が変わり、まったく違う印象を与えてくれます。どちらかというと私は駅の北口側よりも南口側のほうが好きですが、時間があるときには北口側にも足を運びます。サンモール商店街や中野ブロードウェイはいつ行っても楽しい気分になれます。今ではサブカルの聖地として、外国の方も多く来るほどの観光スポットになりましたね」

「駅の北側の観光スポットに比べて、シオノのあるレンガ坂はまだまだ知る人ぞ知る場所だと感じています。“この通り入ってみたいね”と思ってもらえるように、お店同士協力しあってこのストリートをもっとアピールして、盛り上げていけたらと思います」

※JR中央線快速利用

古くからあるもの、新しく生まれるもの。
大切なのは、いろんなものが共存しあえること。

「この10年で中野セントラルパーク、南口エリア再開発、駅ビル、中野区役所、中野サンプラザも含めて、一気に再開発されるこのスピードには驚くばかりです。駅周辺はこれからもっと様変わりしますが、これからも街のシンボル的なスポットは変わらずに残っていくと思います。再開発がもっと進むにつれ、大きな複合ビルが新しく建ち、街の風景はさらに変化すると思いますが、どこにでもあるような画一的な都市にはなってほしくない。なにもかもが新しくなるのではなく、中央線のそれぞれの街にある伝統や個性を大切にして、昔から続くものと新しくできるものが互いに尊重し合い、共存していければと」

「こんなところに路地がある、こんなところに素敵なお店がある・・・まるで雑居ビルのようにいろんな楽しみ方ができるのが中野の魅力だと思います。そんな“中野らしさ”を忘れない、誰もが安心して暮らしを楽しめる街になってほしいと願っています」

オーナー/馬場 昭次
中野レンガ坂
スペインバル
siono(シオノ)

オーナー/馬場 昭次

レンガ坂スペインバル siono (シオノ)
〒164-0001 東京都中野区中野3-36-3 1F
       03-3381-5178
営業時間   月~木/17:00~Lo 23:00
       金、土/17:00~Lo23:30
       日祝/17:00~Lo 22:30
       ランチ(土曜のみ)/13:00~15:00
定休日    不定休

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