



団地再生事業を通じて、
多様な世帯が暮らしやすい住環境づくりと
まちづくりに取り組む賃貸住宅ブランド
「CALMEST(カーメスト)」。
誕生したきっかけやこだわり、
今後の展望や意義など、
プロジェクトストーリーをご紹介します。
何年経っても⾊褪せない、
普遍的な住まいをつくる
―カーメストが誕生した背景
時代の流れとともに、人々の住まいに対するニーズや価値観は絶えず変化し続けています。さらにSDGsに包括されるダイバーシティやサステナブルといった社会課題の解決に向け、住生活の基盤となる質の高い住まいづくりが、これまで以上に重要となっています。
その一方で、「自分らしく穏やかな毎日を過ごしたい」という、いつの時代も変わらない人々の想いがあると感じています。
私たちは、商品開発において、変わりゆく価値観や普遍的な想いを意識しながら、社会課題にもしっかりと応える使命があると考えています。
社会課題×多様で普遍的なニーズ、これらのバランスを追求した商品開発を進めることにより、東京都の賃貸住宅における新たなスタンダードを目指す「カーメスト」が誕生しました。

前身の事業ブランド
“コーシャハイム”で
蓄積されたノウハウ

―カーメストの礎ができるまで
JKK東京は、戦後復興期や高度経済成長期の住宅不足の解消に向けた団地の建設をはじめとして、長年にわたり住宅政策と連携した住宅供給を行ってきました。昭和50年代からは、事業ブランドを「コーシャハイム」として賃貸住宅を供給、平成3年からは老朽化した団地の建替えにも着手し、住まいづくりのノウハウを蓄積してきました。
その中で、現在の「カーメスト」に近い形になったプロジェクトのひとつが「コーシャハイム向原・コーシャハイム向原ガーデンコート」(板橋区)です。昭和30年代に建設した大規模団地である「向原住宅」の建替え事業として平成30年に最終期が竣工しました。この住宅の特徴は、建物の老朽化や高齢化の進行などの課題の解消に向けて、幅広い世帯が暮らしやすい住宅に再生するとともに、土地の高度利用により用地を創出して、サービス付き高齢者住宅の整備や、高齢者施設・障害者施設の誘致により地域の福祉拠点を形成するなど、「住み慣れた地域で多様な世帯がいきいきと暮らせるまち」として再生したことにあります。

コーシャハイム向原ガーデンコート
エントランスホール
―社会課題を解決する
取組で評価を獲得
「コーシャハイム向原・コーシャハイム向原ガーデンコート」は2018年度キッズデザイン賞を受賞しました。その後、令和2年竣工のプロジェクト「コーシャハイム経堂フォレスト」(世田谷区)では、「敷地の開き方」について、その公共性の高さを評価され、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。
私たちは、数十年分のアップデートとなる建替事業の中でこうしたノウハウを積み重ねながら、カーメストの礎を築いてきました。そうして、令和4年竣工の新事業ブランド第一弾「カーメスト大蔵の杜」(世田谷区)の誕生に至ったのです。

コーシャハイム向原ガーデンコート

コーシャハイム経堂フォレスト
タイムレスな価値を
生み出すプロジェクトへ

―「カーメスト」という
ブランド名に込めた想い
「CALMEST(カーメスト)」は、「CALM(穏やかな、落ち着いた)」の最上級を表現しています。
私たちが提供する住まいが、住まう人それぞれにとっての「穏やかで落ち着いた自分らしい暮らし」を叶えられる場所であるようにという想いを込めました。
この「穏やかで落ち着いた」というのは、現在のことだけ、住まう部屋のことだけを指すものではありません。お住まいの方同士のつながりの醸成による心の安らぎや、いざというときのための防災に配慮したまちづくりが生み出す安心感などが、複層的に形成されることによって、将来にわたって「CALM」と感じていただけるようなタイムレスな価値を生み出すプロジェクトの総称でもあります。
カーメストの名のもとに、世代や世帯を問わず多くの人が集まって住まう、そして、それぞれの方が心穏やかに一番くつろげる理想の住まいや環境をカタチにし続けることを目指しています。
理想の暮らしを
実感できる住まい

―カーメストにおける
「4つのこだわり」とは
カーメストでの暮らしにおいて実感できるベネフィット(うれしさや幸せ、快適、安心など)を、Comfort(心地よさ)・Community(コミュニティ)・Health(健康)・Ecology(環境配慮)という4つのキーワードに集約しました。そのこだわりは、設備やサービスとして、カーメストブランドのすべての住まいに反映されています。
4つの視点に基づき、多くの人に、理想の暮らしを叶える住まいとして選ばれ、長く愛される住まいであり続けるために、商品開発を行っています。

お住まいの方は
もちろん、
地域にとっても
よりよい環境を

―JKK東京だからこそ、
できること、やるべきこと
東京都における賃貸住宅ストックは、数だけを見れば市場に十分出回っていますが、子育て世帯や高齢者等が入居しやすく暮らしやすい賃貸住宅の供給は、まだ十分ではないと考えています。そのような状況をふまえて、私たちは、住宅政策と連携し、子育て世帯や高齢者等の支援に重点を置いた魅力ある住まいの供給・住環境の形成にも努めています。
また、カーメストに代表されるJKK東京の集合住宅は規模の大きいものが多く、立ち上がる建物によってまちの景観が大きく変化する、新築時には新たな住民が一時に増加するなど、周辺の地域に大きな影響を与えることがあります。
そのため、立地特性を読み解き、セキュリティなどの観点から閉ざされがちな住宅・空間について、プライベートスペースとパブリックスペースをうまくつなぐバッファゾーンとして共用空間(屋外空間)を設け、まちなみと調和した景観を作り出したり、地域とのつながりを創出するオープンスペースの整備を行ったりしています。こうした取組により、お住まいの方だけでなく、地域にとっても「よりよい環境」を形成することに努めています。


カーメスト桜新町 中庭
日常も、非常時も、
“つながり”が
あることの意義

―共用施設がハブとなって
生み出すコミュニティ
かつての団地には、強固なコミュニティ組織があり、お住まいの方同士がご近所づきあいの交流を通してつながりを深め、見守りや防災などの相互扶助の役割を担うなど、団地での暮らしに根ざした活動が積極的に行われていました。しかし、時代や価値観の変化とともにこうした交流は希薄化する傾向にあり、お住まいの方が孤立や不安を感じることが多くなっているように感じています。
そこで、建替えによって新たに誕生する「カーメスト」においては、緩やかなつながりが自然に生まれる仕組みづくりのひとつとして、誰でも利用しやすい、気軽に立ち寄りやすい共用施設「マルチサロン」を設けています。従来の集会スペースに加えて、ワークスペースやソファコーナー、シェアキッチンを備えるなど、よりいっそう機能性を高めることで、身近なもう一つの居場所、プラスワンのゆとりを提供しています。子育て世帯の交流、雨の日の子どもの遊び場、趣味の交流、歓談、リモートワークや自習など、様々な用途で日常的にお使いいただけます。

カーメスト桜新町 マルチサロン
―災害時における
共助の仕組みづくり
また、災害発生時の在宅避難を想定し、防災井戸やマンホールトイレ、かまどベンチなどの防災施設を敷地内に整備しています。これらの施設を使用して防災をテーマとしたイベントを開催するなど、防災意識の醸成と交流機会の創出の支援も行っています。さらに、停電時の応急策として、太陽光発電電力や蓄電電力をマルチサロン等の照明やコンセントに供給できるようにしています。
カーメストにお住まいの方に、日常も、非常時も、共用施設があることのメリットをぜひ実感していただきたいと願っています。

イメージ

カーメスト桜新町 かまどベンチ
次の50年へ―。
東京の新しい
“暮らし⽅”を供給したい
あらゆるコトやモノがめまぐるしく変化し、
多様化していく時代。
私たち東京都住宅供給公社は、
設立から半世紀以上が経った今、
次の50年に向けて、
快適な住まいづくりはもちろん、
住まいの先にある、
誰もが心穏やかに自分らしくいられる
“暮らし方”まで供給できる存在で
あり続けたいと思います。